「警察に行っても意味がない」「恥ずかしくて言えない」
そう思って行動できずにいる方が多いのが現実です。
でも、あなたが届け出なければ、被害の存在は“無かったこと”にされてしまいます。
まず警察に相談(2次被害に遭わないでほしい)
詐欺に気づいたあと、ネットで検索してみたら
「失った暗号資産、取り戻せます」「ご相談無料」「スピード対応」
そんな希望のある言葉が並ぶホームページを見つけませんでしたか?
警察は、証拠がないと相手にしてくれない。
警察は、失ったお金を取り戻してくれるわけではない。
警察に行くより先に、当社にご相談ください。
書いてありましたか?
それでも、「まず警察に行ってください」と私はお伝えしたい。
なぜなら、
あなたの不安や焦りにつけ込んで、さらにお金を巻き上げようとする業者が存在するからです。
「暗号資産 詐欺」で検索すると、上位に表示されるページの中に「スポンサー」と記されたものがあります。
これは広告費を払って表示されているだけで、信頼性や実績とは関係ありません。
まず居住地域管轄の警察署に相談してください。無料ですから。
もし対応が不十分だと感じたら、県警のサイバー犯罪窓口に連絡を。
それでもダメなら、そのとき初めて他の手段を考えましょう。
警察に行くデメリット(現実的な話)
警察に相談することで、いくつかの負担やリスクもあります。
- 報道される可能性がゼロではない(とはいえ本人が特定されるような報道はされません)
- 証拠をまとめる手間や精神的負担がある
- 何度か警察署に足を運ぶ必要がある
- お金が戻ってくるとは限らない(目的が”犯人逮捕”のため)
- 犯人が海外の場合、逮捕される見込みはかなり低い
つまり、警察に行ったからといってすぐに解決するわけではありません。
それでも、何も行動しなければ、被害は“なかったこと”にされてしまいます。
警察に行くメリット(見落としがちな重要点)
デメリットもありますが、警察に届け出ることで得られるメリットも大きいのです。
- あなたが「詐欺被害者」であることの“証拠”になる
- 後日、免許証や個人情報が悪用されても、「被害届を出している」と説明できる
- 実際に捜査してくれる可能性もある
- 他の被害者と照合されて、詐欺グループの摘発につながることもある
何よりも大きなメリットは、
あなた自身が「もう黙って泣き寝入りはしない」と決めた、その意思表示になるということです。
なぜ犯人が逮捕されないのか
「おかしい」と思いませんか?
LINE上でのやり取りはすべてスクリーンショットで残してある。
相手のアカウント名も知っている。相手の経営する会社名を聞いて、ホームページも確認した。
身分証の写真まで送られてきたし、LINE通話だってした。
—— こんなに証拠が揃っているのに、本当に詐欺なのか?
いや、こんなに情報があるなら、もう逮捕できるんじゃないか?
そう思うのは当然です。
しかし、現実はそう簡単ではありません。
現在の詐欺は、単独犯による犯行はほとんどなく、
組織化された詐欺グループによって行われています。
その規模は、時に中小企業を超えるほどとも言われています。
たとえば、LINEのアカウントを調べてほしいと警察に依頼したとします。
ところが、LINEはプライバシー保護の観点から、個人情報の開示には非常に慎重です。
仮に照会が通ったとしても、そこから得られる情報が犯人本人に直結するとは限りません。
そのため、警察側もLINEへの照会には消極的になる傾向があります。
InstagramやXに通報した場合も同様です。
運営側が確認するのは投稿内容であり、そこに「料理」や「風景」のような無害な投稿しかなければ、
アカウントが停止されることはまずありません。
運営側からアカウント情報が開示されることもありません。
仮に、正規の暗号資産取引所(CEX)に通報しても:
「お客様がご自身の意思で送金され、TxID(取引履歴ID)が発行されている以上、取り消しはできません」
という対応になります。つまり、合法な手続きに見えるかぎり、介入はできないのです。
警察に被害届を出す、あるいは告訴状を提出したとしても、
捜査の進捗状況は基本的に被害者には知らされません。
また、捜査には十分な証拠の整理と法的要件が必要なため、どうしても時間がかかります。
仮に犯人を突き止めたとしても、すでに資金は別のウォレットに移され、
残っていないケースがほとんどです。
さらに深刻なのは、犯人が海外に拠点を持っている場合です。
この場合、日本の警察は捜査・逮捕ともに手を出すことができません。
こうした構造の中で、たとえ多くの痕跡が残っていたとしても、
逮捕や返金にまで至らないケースがほとんどなのです。
では、「何もできない」のか?
それは違います。
被害に遭ったら、まずは警察に相談し、状況によっては告訴状を出してください。
証拠を丁寧に整理し、自ら告訴する意思を明確にすること。
その積み重ねが、やがて捜査体制や国際協力の強化につながります。
法律も、多くの被害者の声によって変わっていくものです。
たしかに、送ってしまったお金は戻らないかもしれません。
それでも、何もせずに終わるのとは違います。
騙され、傷つけられた心。このまま割り切って前へ進めますか?笑顔を取り戻せますか?
悲しみや後悔を、一歩ずつ行動に変えていきましょう。
あなたの行動が、同じ被害を防ぎ、
誰かの人生を守ることにつながるかもしれません。