内容証明に書いてはいけないこと

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内容証明は「正しく書く」ことが命

内容証明郵便は、法的な証拠として活用できる強力なツールです。しかし、その効果は「書かれている内容が適切であること」が大前提です。どんなに形式を整えても、中身に不適切な表現が含まれていれば、相手に誤解や反感を与えたり、最悪の場合には法的リスクを招くことも。

この記事では、内容証明を作成する際に絶対に書いてはいけないことを解説します。

1. 脅迫的な表現

「今すぐ返済しなければ訴えるぞ!」「お前を社会的に抹殺してやる!」——こうした表現は、相手に強いプレッシャーを与えるかもしれませんが、同時に脅迫罪や名誉毀損に該当する可能性があります。

内容証明は、相手にプレッシャーを与えるための手段ではなく、あくまで意思表示と証拠保全が目的です。法的リスクを回避するためにも、強圧的な言葉は避け、冷静で客観的な文言にすることが鉄則です。

2. 感情的な発言や怒りをぶつける表現

「ふざけるな!」「人として最低だ!」といった感情にまかせた文言を内容証明に書いてしまう方もいますが、これは逆効果です。

感情的な文章は、読み手に「単なるクレーム」「感情的な人だ」と見なされ、内容の正当性が薄れてしまいます。また、将来的に裁判資料となる可能性もあるため、冷静な第三者が読んでも納得できるような文章を心がけましょう。

3. 根拠のない事実や憶測

「あなたは他の人にも同じことをしていると聞きました」「どうせ最初から返す気がなかったんでしょう」など、証拠のない推測を断定的に書くことは非常に危険です。

これにより、相手から名誉毀損や侮辱で反訴されるリスクが生じることがあります。内容証明には、事実として証明可能な内容だけを記載し、誇張や想像は絶対に避けましょう。

4. 法的な誤解を招く言葉

「契約は無効だ!」「損害賠償を請求する!」など、法律用語を安易に使うと、文面が誤解を招く恐れがあります。

たとえば「契約無効」と「契約取消し」では法律上の意味が異なります。もし法的効果を伴う言葉を使う必要がある場合は、専門家に確認するか、表現を控えめにするのが安全です。

5. 侮辱・人格否定につながる表現

「非常識な人ですね」「人間として信用できない」など、相手の人格を否定する表現も避けるべきです。仮に相手に非があっても、相手を攻撃するような表現は、法的リスクを生むだけでなく、交渉の道を閉ざす結果になりかねません

事実に基づいた冷静な文面を心がけ、相手にとっても「対応する余地がある」と思わせることが、結果的に解決への近道になります。

6. 相手の行動を限定するような表現

「この日しか会えません」「これ以外の方法では受け付けません」といった一方的な条件の押しつけも、避けた方がよい表現です。

話し合いや支払いが成立する可能性があるのであれば、ある程度の柔軟性を持たせた表現にする方が、実務的に有効です。

まとめ:内容証明は「冷静な提案書」くらいの気持ちで

内容証明というと「最後通告」「強い警告」といったイメージを持たれがちですが、実際には冷静で論理的な意思表示をするための手段です。

怒りや不満をぶつけるのではなく、相手に「このままだと法的手続きに移行する可能性がある」と理解させ、話し合いの余地を残すような文面が理想です。

行政書士しまだ法務事務所では、内容証明の文書作成から郵送の流れまで丁寧にサポートしています。お気軽にご相談ください。

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