移動販売で必要な申請。自治体ごとの違いとは?
移動販売(キッチンカーや露店販売など)を始める際、「営業許可を取ればどこでも出店できる」と思っていませんか?実際には、出店場所や地域によって必要な申請やルールが大きく異なります。
この記事では、移動販売で必要となる主な申請内容と、自治体によってどのような違いがあるのかをわかりやすくまとめます。
1.食品営業許可は全国共通だが…
まず前提として、飲食物を取り扱う場合は保健所からの「食品営業許可」が必要です。この許可は営業所(車両)がどの地域を回るとしても、最初に許可を取った自治体の保健所で発行されます。
ただしこの営業許可を持っていても、「場所ごとの許可」や「届出」を怠ると営業できないケースが多いのです。
2.出店場所ごとに異なる申請が必要
出店する場所によって、必要な手続きが異なります。以下は代表的なパターンです:
【公園・河川敷などの公共スペース】
各自治体が管理する「都市公園」や「河川敷」などで出店する場合は、占用許可申請や施設使用申請が必要です。申請先は市区町村の公園緑地課や河川管理課になります。
【駅前・市道・歩道】
道路での営業は道路占用許可が必要となります。所管は道路管理者(市道なら市役所、国道なら国土交通省)です。安全対策や通行妨害にならないかの審査が厳しく、申請しても許可されない場合もあります。
【イベント出店】
商工会主催の祭りやイベントでの出店は、主催者を通じて一括許可を取得する場合が多く、個別に許可申請しないでよいこともあります。ただし、車両の営業許可証や営業者の身分証明の提出を求められることがあります。
【私有地(店舗前や駐車場など)】
地主や管理者の使用許可(または賃貸契約)が必要です。私有地であっても、営業行為が近隣に影響を及ぼす場合、騒音や臭気などでトラブルになるケースがあるため、事前説明をしておくとスムーズです。
3.自治体による独自ルールの実例
移動販売に関するルールや窓口は自治体によってまちまちです。以下はその一例です:
- ●静岡市:公園ごとに「キッチンカー優先区域」が設けられており、定期的に募集が行われる
- ●名古屋市:市道での営業は原則禁止、例外的に許可を得るには厳格な要件あり
- ●世田谷区:キッチンカーの登録制度があり、登録済み車両のみ出店可能
- ●京都市:道路占用許可と別に「地域美観条例」による規制もあり
このように、同じ移動販売でも、自治体によって「申請先・条件・書類」が全く異なるのが現状です。
4.出店計画は事前相談が必須
新たに移動販売を始める場合は、営業を考えているエリアの自治体に必ず事前相談しましょう。
たとえば、公園での出店を計画していても、その公園が飲食を禁止していることがあります。逆に、行政主導でキッチンカー誘致をしている自治体もあり、補助制度や支援策が用意されていることもあります。
まとめ
移動販売では、保健所の許可を取っただけでは不十分です。出店場所ごとに申請先や許可内容が異なり、しかもそのルールは自治体ごとに細かく定められています。
自治体の公式サイトでは十分な情報が得られないことも多いため、営業開始前に直接問い合わせをすることが成功のカギです。
行政書士しまだ法務事務所では、移動販売に関する許可取得・出店相談を幅広くサポートしています。お気軽にご相談ください。