法人で古物商許可を申請する際のポイント
古物商許可は、個人だけでなく法人でも取得可能です。副業やスモールビジネスとして古物営業を行う個人事業主が多い一方で、会社として本格的に中古品の取扱いを始めたいという法人からの申請も増えています。
しかし法人の場合、個人申請とは異なる注意点が多く、書類の準備や内容の整合性を誤ると、申請が受理されなかったり補正を求められるケースもあります。本記事では、法人で古物商許可を申請する際に気をつけたい具体的なポイントについて詳しく解説します。
1. 代表者だけでなく「役員全員」が審査対象
法人で古物商許可を取得する際、警察署では法人の「役員全員」について欠格事由の確認を行います。たとえば、以下のような事由があると不許可となる可能性があります:
- 過去5年以内に刑罰(懲役・罰金など)を受けた
- 成年後見制度の対象となっている
- 破産して復権していない
代表者に問題がなくても、他の役員に該当者がいると許可が下りません。そのため、申請前に全役員の経歴や法的状況を必ず確認しておきましょう。
2. 「定款」の事業目的に古物営業が記載されているか
法人が古物営業を始めるには、会社の定款に「古物の売買」「中古品の販売」などの記載がある必要があります。事業目的に関係ない活動をすることは原則認められません。
もし現在の定款に古物営業に関する記載がない場合は、株主総会を開いて事業目的を変更し、法務局で定款変更登記を行う必要があります。
3. 営業所の所在地と契約名義の一致
営業所(事務所)として登録する場所は、法人の実態に沿っている必要があります。たとえば以下の点に注意してください:
- 法人名義で賃貸契約されているか
- 個人名義の場合、法人使用が認められる契約内容になっているか
- バーチャルオフィスやシェアオフィスは使用不可のケースが多い
契約書や使用権原に関する証明書類は、警察署の審査でも重要なチェックポイントです。
4. 必要書類が個人より多い
法人の場合、個人申請に比べて提出書類の種類や枚数が増えます。主なものは以下のとおりです:
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 定款の写し
- 役員全員分の身分証明書・住民票・略歴書・誓約書
- 営業所に関する書類(賃貸借契約書など)
- 法人の印鑑証明書
書類の不備があると補正の対象になりますので、申請前に行政書士などの専門家に確認してもらうのが安心です。
5. 申請者は代表者、委任も可能
古物商許可の申請は法人代表者が行います。ただし、行政書士に手続きを依頼する場合は「委任状」を添えて代行してもらうことも可能です。多くの法人は、専門家に依頼することで申請の手間を省き、スムーズに許可取得を目指しています。
6. 許可証は法人単位で交付される
法人として古物商許可を取得すると、「法人名義」の許可証が交付されます。営業所を追加する場合は「変更届出」や「追加申請」が必要になるため、事業拡大の計画がある場合は最初から見据えて申請内容を設計すると効率的です。
まとめ:法人申請は事前準備がカギ
法人で古物商許可を申請する場合、定款の確認、役員全員の書類準備、営業所との契約関係など、個人申請とは異なる注意点が多数存在します。スムーズに許可を取得するには、必要書類や条件をしっかりと確認し、早めに準備を進めることが重要です。
行政書士しまだ法務事務所では、法人での古物商許可取得に関するご相談から、書類作成・提出・変更手続きまで一貫してサポートいたします。お気軽にご相談ください。