「告訴状を出したのに、警察に断られた…」「せっかく証拠を集めたのに、なぜ?」そんな声は少なくありません。実は、告訴状が必ずしも受理されるとは限らないのが現実です。この記事では、告訴状が受理されない主な理由と、その対策について行政書士の視点から詳しく解説します。
告訴状の「受理」とは?
まず前提として、告訴状が「受理される」とは、警察や検察がその内容を正式に受け付け、刑事事件として捜査に着手することを意味します。受理されなければ、事件として取り扱われない=捜査が開始されません。
告訴状が受理されない主な理由
1. 民事トラブルと判断された
金銭トラブルなどの場合、「これは詐欺ではなく、単なる貸し借り」と判断されると、刑事事件とはみなされず、受理されないことがあります。
2. 被害の裏付けが不十分
「言った・言わない」「送った・送られてない」のような曖昧なやり取りだけでは、犯罪の立証が難しく、証拠不足と判断されることがあります。
3. 加害者の情報が不明
名前も住所も分からず、LINE IDやアカウント名だけでは、相手を特定できず捜査が難航するため、受理を渋られることがあります。
4. 内容がわかりづらい
文章が長すぎる、要点が曖昧、時系列が不明確などの場合、警察が内容を把握しにくく、対応を後回しにされるケースもあります。
5. 「被害届で十分」と判断された
明確な処罰意思がなく、「とりあえず相談したい」場合、告訴状ではなく被害届での対応をすすめられることがあります。
受理されやすくするための対策
1. 被害の流れを時系列でまとめる
「いつ、どこで、誰に、何をされたか」を明確にし、ストーリー性のある構成にすると、警察側も理解しやすくなります。
2. 証拠を添付し、簡潔に整理
LINEのやりとり、振込明細、詐欺サイトの画面などを印刷して添付し、本文中で参照する形にすると説得力が増します。
3. 加害者の情報をできるだけ詳細に
LINE ID、メールアドレス、送金先口座、仮想通貨アドレスなど、わかる範囲でリストアップして添付しましょう。
4. 「処罰を求める意思」を明記
「私はこの人物の処罰を求めます」という明確な意思表示がないと、警察が「告訴意思がない」と判断することがあります。
5. 行政書士や専門家に相談する
内容の整理や法的な構成に不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することで、形式面・内容面ともに受理されやすい文書に仕上がります。
それでも受理されなかった場合は?
正当な理由がないのに受理されない場合、「受付拒否理由書の交付」を求めることができます。また、管轄の警察署ではなく、都道府県警の本部や検察庁へ相談することも視野に入ります。
まとめ
- 告訴状が受理されないのはよくあること
- 民事判断・証拠不足・加害者不明が主な理由
- 時系列の整理、証拠添付、処罰意思の明記がカギ
- 不安な場合は行政書士に相談を
行政書士しまだ法務事務所では、告訴状の作成から提出時のアドバイスまでサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。